坂道トレーニング

坂道、特に上り坂を走って上るつらさは、ランナーならわかるでしょう。
あの、脚フラフラ、心臓バクバク状態。
でも、まさにこれが問題であって、脚の筋力が弱いからフラフラする、心臓の機能が低いからバクバクするのです。
だからスピードが出ないのです。ある程度のレベルまでいくと、走り込みのような持久的トレーニングだけでは、脚筋力、心肺機能などはあまり向上しません。
そこで、あえて坂道を利用したトレーニングで脚と心臓に負荷をかけ、ランニング能力を向上させていこうというのです。
つまり、坂道トレーニングは、スピード練習などと同じような効果がより手軽に得られるというとても得な練習方法です。

また、坂道で無駄な動きがあるとよけいにつらいので、自然と効率のよいフォームに洗練されてくるようです。
初心者は、ランニングコースの中に、坂や起伏を積極的に取り入れてみましょう。
めいっぱいがんばって駆け上がる必要はなく、ちょっときついかなと思うくらいで十分。
坂道の負荷を利用して「走る身体」を作っていくつもりでいいのです。

長く走れるけれど速くは走れないという人にこそ、坂道トレーニングは効果的です。
コースの途中に坂を入れ、坂にさしかかったら意識的にダッシュで上り切ります。
がむしゃらに駆け上るのではなく、フォームに注意して力強く。余裕があれば数回繰り返してみましょう。

坂道を走る時、フォームについて注意したいことは、次のようなことです。

(1)脚は後ろに流れないよう、両脚の大腿部の筋肉を使って上がっている、という意識を持つ。
ただし、もも上げ練習のように無理にひざを高く上げる必要はない。
(2)目線は下げない。常に数m 前を見るよう心がけ、おへそを突き出すようなイメージで走る。
(3)胸を開き、ひじを後ろに引くような力強い腕振りを。前屈みにならないように意識する。

坂道トレーニングはかなりつらいため、基本的な走力と相応の覚悟をもって取り組んでください。
週2 〜3 回を目安にするといいでしょう。
まずは無理のない本数より、徐々に挑戦してみましょう。